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【弁護士監修】外壁塗装におけるクーリングオフとは?進め方や注意点

  • 「訪問販売で外壁塗装を契約したけど、少し考え直したい…」
  • 「クーリングオフって外壁塗装でも使えるの?手続きが難しそう…」

外壁塗装は大切なお住まいを守るために重要ですが、高額な契約になることも多く、契約後に不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に、予期せぬ訪問や電話での勧誘で契約した場合、冷静に判断する時間が持てなかったかもしれませんね。

でも、ご安心ください。
この記事では、そのようなお悩みを抱えるあなたのために、外壁塗装におけるクーリングオフ制度について、マスカットホームの顧問弁護士監修のもと、分かりやすく解説します。

この記事を読めば、以下のポイントが分かります。

この記事のポイント
  • クーリングオフ制度の基本的な知識
  • 外壁塗装でクーリングオフが使えるケース・使えないケース
  • クーリングオフの具体的な進め方6ステップ
  • 手続きの際の注意点やよくある疑問

この記事を読むことで、クーリングオフ制度を正しく理解し、万が一の際にも落ち着いて対処できるようになるはずです。
不安な契約から解放され、安心して次のステップに進みたい方はぜひ最後までご覧ください。

目次
  1. 外壁塗装におけるクーリングオフとは
  2. 外壁塗装のクーリングオフする6ステップ
  3. 外壁塗装をクーリングオフする際に注意すべきポイント
  4. 外壁塗装がクーリングオフできる事例
  5. 外壁塗装のクーリングオフでよくある疑問
  6. まとめ

外壁塗装におけるクーリングオフとは

外壁塗装の契約をしたものの、「本当にこの契約でよかったのかな…」と後から不安になること、ありますよね。
そのような時に知っておきたいのが「クーリングオフ制度」です。

初めに、外壁塗装の契約とクーリングオフ制度の関わりについて、基本的なところから分かりやすくご説明します。
クーリングオフがどのような制度で、どのような条件で利用できるのか、一緒に確認していきましょう。

そもそもクーリングオフとは

クーリングオフ制度は、消費者を守るための大切な仕組みです。

クーリングオフ制度とは、訪問販売や電話営業などで強引に契約させられた場合に、法定の契約書面を受け取った日から一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度です。

残念ながら、外壁塗装業者の中には悪質な手口を使う業者も存在し、トラブルが後を絶ちません。
特に、突然訪問してきたり、電話でしつこく勧誘してきたりするケースでは、冷静な判断が難しく、つい契約してしまうことも。

そのような「不意打ち」ともいえる状況で契約してしまった消費者を保護するために、この制度が設けられました。
例えば、「今契約すれば大幅割引します!」といった甘い言葉で契約を急かされたり、長時間にわたる勧誘で断りきれずに契約してしまったりするケースが考えられます。

このように、クーリングオフは、じっくり考える時間を与えられずに結んでしまった契約から、消費者を救済するための重要な制度といえるでしょう。

外壁塗装でクーリングオフが対象となる基本的な条件

外壁塗装の契約でも、クーリングオフを利用できる場合がありますが、それにはいくつかの基本的な条件があります。

クーリングオフ制度は、勧誘や営業を受けている中で、冷静な判断ができずに契約してしまった消費者を守る目的で定められたものです。
しかし、すべての契約に適用されるわけではなく、特定の取引形態が対象となります。

外壁塗装で問題となりやすいのは、主に「訪問販売」と「電話勧誘販売」です。
これらの取引で契約した場合、法律で定められた事項が記載された契約書面(法定書面)を受け取った日を含めて8日間であれば、クーリングオフを行使することが可能です。

この法定書面には、事業者情報や契約内容、クーリングオフに関する事項が明記されていなければなりません。
なお、法定の契約書面には、主に以下の事項を記載する必要があります。

  1. 事業者の名称、住所、代表者氏名、固定電話番号
  2. 担当者名
  3. 商品名・商標・製造者名
  4. 型式・種類
  5. 数量
  6. 販売価格
  7. 支払い時期・方法
  8. 商品の引渡時期
  9. クーリングオフの事項
  10. 契約日
  11. 瑕疵担保責任
  12. 契約解除次項
  13. その他の特約

もし、これらの記載を欠く場合、適切な書面が交付されたとはいえず、クーリングオフ期間は進行しません。

具体的に、どのようなケースが訪問販売や電話勧誘販売に該当するでしょうか。

クーリングオフの対象となるケース

まず、クーリングオフの対象となるのは、主に消費者が不意打ち的に勧誘されるような特定の取引形態です。

事業者と消費者の間には情報量や交渉力に差があることが多く、冷静な判断が難しい状況で契約してしまうことを防ぐためです。
外壁塗装でクーリングオフの対象となりやすい代表的なケースは「訪問販売」と「電話勧誘販売」です。

  • 訪問販売:事業者が営業所以外の場所(ご自宅)で契約を締結すること。街頭での呼び止めから営業所に同行した場合や、販売目的を隠して呼び出された場合も含むことがある。
  • 電話勧誘販売:事業者から電話で勧誘を受け、郵便で申込みや契約をする場合。

上記に加え、以下の条件を満たすとクーリングオフが適用されます。

  • 契約書面受領日から8日以内
  • 塗装業者を呼び寄せていない
  • 塗装業者の事務所で契約していない
  • 個人と法人(または個人事業主)の契約

これらの条件に当てはまる場合は、クーリングオフを検討できる可能性が高いといえるでしょう。

クーリングオフの対象とならないケース

一方で、クーリングオフ制度が適用されないケースも存在します。

消費者自身の積極的な行動で契約に至った場合や、特定の条件では対象外です。
クーリングオフは不意打ち的な勧誘から消費者を守る制度のため、自発的な契約は原則適用されません。

具体例として、以下が挙げられます。

  • 訪問販売:
    • 自ら塗装業者の営業所へ出向いて契約した場合
    • 自ら業者を自宅に呼び契約した場合
  • 電話勧誘販売:
    • 電話で勧誘後、営業所へ行き契約した場合

その他、以下も対象外となる主な条件です。

対象外のその他ケース
  • 契約書面受領日から8日を超過した場合
  • 契約金額が3,000円未満の場合(現金取引)
  • 過去1年間に取引のある業者との契約
  • 日本以外での契約

これらの場合、クーリングオフは難しくなるため、契約は慎重に行いましょう。

外壁塗装クーリングオフ:対象となるケース・ならないケース早わかり表

上記を分かりやすく表にまとめると以下の通りです。

状況クーリングオフ対象?主な理由・根拠注意点
飛び込み営業の業者と自宅で契約対象となる訪問販売契約書面受領後8日以内
電話勧誘で契約対象となる電話勧誘販売契約書面受領後8日以内
無料点検後、その場で契約(点検商法)対象となる訪問販売(点検商法)不安を煽られたり、考える時間を与えられなかった場合
自分で業者を探し、店舗で相談・契約原則対象外消費者の自発的な意思による契約契約内容をよく確認
インターネットで見積もりを取り、メール等で契約原則対象外通信販売業者の返品特約を確認
消費者が業者を自宅に呼んで見積もり依頼、その場で契約を即決状況による消費者からの明確な契約締結の申し出か、業者の不意打ち的な勧誘か契約時の状況を記録、契約締結を急かされた場合は訪問販売に該当する可能性あり
営業用の建物の塗装契約対象外事業のための契約
契約金額が2,500円で現金払い対象外3,000円未満の現金取引外壁塗装では稀
契約書面にクーリングオフに関する記載がない、または不備がある対象となる可能性あり法定書面の不備8日間を過ぎてもクーリングオフできる場合がある
事業者から「クーリングオフできない」と嘘を言われたり、脅されたりした対象となる可能性ありクーリングオフ妨害8日間を過ぎてもクーリングオフできる場合がある

この表は一般的な目安であり、個別の状況によって判断が異なる場合があります。
不明な場合は、専門機関に相談することをオススメします。

外壁塗装のクーリングオフする6ステップ

「クーリングオフできるかもしれないけど、具体的にどうすればいいの?」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。

ご安心ください。
ここでは、外壁塗装の契約をクーリングオフするための具体的な手順を6つのステップに分けて解説します。

先にポイントをまとめると以下の通りです。

詳細について、一緒に手続きの流れを見ていきましょう。

ステップ1.クーリングオフが適用されるか確認する

まず、ご自身の契約がクーリングオフの対象になるかどうかを確認しましょう。

クーリングオフの適用可否を最初に確認することが、スムーズな手続きへの第一歩です。
対象外なのに手続きを進めてしまうと、時間と労力が無駄になってしまう可能性があります。

また、適用されると思い込んでいたのに後から対象外だと判明すると、精神的な負担も大きくなってしまいます。
前のセクション「クーリングオフの対象となるケース」をもとに、

  • ご自身の契約が訪問販売や電話勧誘販売に該当するか
  • 契約書面を受け取ってから8日以内か

などを冷静に確認してください。

契約書面に不備がないかも重要なチェックポイントです。
適用されるかどうか不明な場合は、この段階で消費生活センターに相談するのもよいでしょう。

ステップ2.必要書類を揃える

次に、クーリングオフの手続きに必要な書類を揃えましょう。

手続きをスムーズに進め、万が一のトラブルに備えるために、関連書類を事前にしっかりと準備しておくことが大切です。
通知書を作成する際の情報源となるだけでなく、後々「言った、言わない」の争いになった場合に、ご自身の主張を裏付ける証拠にもなり得るためです。

具体的に必要となる書類は以下の通りです。
お手元にあるか確認し、もし見当たらないものがあれば探しておきましょう。

  • 契約書の控え
  • 契約した業者に関する資料(パンフレット、名刺)
  • 請求書や見積書
  • もしあれば、領収書や振込の控え支払いに関する書類

これらの書類は、通知書を送付した後も、問題が完全に解決するまできちんと保管しておきましょう。

ステップ3.クーリングオフの通知書を作成する

必要書類が揃ったら、クーリングオフの意思を業者に伝えるための通知書を作成します。
クーリングオフの通知は、口頭ではなく必ず書面(または電磁的記録)で行うことが重要です。

書面で通知することで、「いつ、誰が、誰に、どんな内容を伝えたか」という証拠を明確に残せ、後のトラブル防止につながります。

通知書に決まった形式や用紙はありません。
A4用紙にボールペン(鉛筆や消せるペンは避けましょう)で書くか、PCで作成します。

記載項目は以下の通りです。

  • タイトル:「契約解除通知書」等
  • 契約日:契約書記載の契約日
  • 契約内容:契約書記載の工事名称
  • 契約金額:契約書記載の金額
  • 業者名:契約書記載の会社名
  • 担当者名:契約書に記載があれば担当者名
  • ご自身の氏名・住所・電話番号
  • (必須)契約を解除する旨の明確な意思表示
  • 通知を発する日付

正確かつ明確に記載しましょう。
不安な場合は、消費生活センターへ相談も有効です。

外壁塗装クーリングオフ通知書(文例)

契約解除通知書

契約年月日:令和〇年〇月〇日
工事名:貴社と契約した外壁塗装工事(および付帯する一切の工事)
契約金額:金〇〇〇円
販売会社:株式会社〇〇(〇〇県〇〇市〇〇町〇-〇-〇)
担当者名:〇〇 〇〇 様(もし分かれば)

上記の契約について、特定商取引法第〇条(※訪問販売や電話勧誘販売該当条文)に基づき、契約を解除いたします。

つきましては、支払い済みの頭金(契約金の一部)金〇〇円を、速やかに下記の口座へご返金ください。
(振込先口座:〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇 名義人 〇〇 〇〇)

また、もし既に工事に着手されている場合は、速やかに原状回復を行っていただきますようお願いいたします。

令和〇年〇月〇日

(ご自身の住所)〇〇県〇〇市〇〇町〇-〇-〇
(ご自身の氏名)〇〇 〇〇 印
(ご自身の電話番号)〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇

(クレジット契約がある場合は以下も追記)
————————————————–
クレジット会社名:〇〇株式会社 御中
上記の契約に伴うクレジット契約(個別信用購入あっせん契約)についても、併せて解除いたします。
契約番号:XXXXXXXXXXXXXXXX(もし分かれば)
————————————————–

※この文例はあくまで参考です。
 実際の作成にあたっては、ご自身の契約内容に合わせて修正してください。
※クレジット契約がある場合は、販売業者とは別に信販会社にも同様の通知が必要です。

ステップ4.作成したクーリングオフの通知書を送る

通知書が完成したら、次は業者へ送付します。

通知書は、クーリングオフ期間内に相手方に「発信」したことが重要です(発信主義)。
業者側の受取拒否や、「そんな書類は届いていない」といった言い逃れ、さらには書面を破棄されてしまうといった万が一のリスクに備える必要があります。

そのため、送付方法は慎重に選ぶべきです。

最も確実なのは「内容証明郵便」に「配達証明」を付けて送る方法ですが、相手が受け取りを拒否する可能性もゼロではありません。
受取拒否を確実に防ぎたいのであれば、FAXや手渡し(受領書をもらう)、普通郵便といった方法も選択肢に入ります。

どの方法を選ぶにしても、送った証拠、できれば相手が受け取った証拠を残すことを意識しましょう。

ステップ5.契約解除の確認の連絡が業者から入る

クーリングオフの通知書を送付した後、通常は業者から契約解除の確認や、今後の手続き(返金)に関する連絡が入ります。

業者からの連絡を待つ間も、冷静に対応することが大切です。
クーリングオフは消費者の正当な権利であり、業者の「了承」は法律上必要ありません。
通知書が期間内に発信されていれば、契約解除の効力は発生しています。

しかし、中にはすんなり認めない業者や、引き止めようとする業者もいるかもしれません。

もし業者からクーリングオフを妨害するような言動(例:「違約金が発生する」「もうキャンセルできない」)があった場合は、その内容を記録し、消費生活センターや弁護士に相談することも検討しましょう。

一定期間待っても連絡がない場合でも、法的にはクーリングオフは成立していますが、念のため業者に確認の連絡を入れるとよいでしょう。

ステップ6.返金および撤去作業が行われる

クーリングオフが成立すると、契約は初めからなかったことになります。

契約が解除されたことに伴い、消費者が支払ったお金は返金され、もし工事が始まっていれば業者の負担で元に戻されます。
クーリングオフは、消費者を一方的に保護するための制度であり、消費者に不利益が生じないように法律で定められているためです。

具体的には、以下のようになります。

  • 返金:もし契約金や頭金等を既に支払っている場合、業者は速やかにその全額を返金する義務がある。
  • 原状回復:足場が組まれていたり、一部塗装が始まっていたりしても、業者は自身の費用でそれらを撤去し、元の状態に戻さなければならない。
  • 違約金・損害賠償の支払い不要:クーリングオフに際して、消費者が業者に対して違約金や損害賠償を支払う必要は一切ない。

業者が「工事に着手した分の費用は支払え」「足場の撤去費用を負担しろ」と要求してきても、応じる必要はありません。
スムーズに進まない場合は、専門機関に相談しましょう。

改めて最後に表で手順をまとめると以下の通りです。

やること重要ポイント関連書類・記録
1.適用確認契約方法(訪問販売等か)、契約書面受領日からの日数(原則8日以内)、書面の不備の有無を確認。契約書、申込書
2.書類準備契約関連書類(契約書、見積書、領収書等)、業者とのやり取りの記録をすべて集める。契約書、見積書、領収書、図面、保証書、メール、メモ等
3.通知書作成契約年月日、工事名、契約金額、業者名、契約解除の意思、通知日、自分の住所・氏名を明記。クレジット契約があればその解除も記載。通知書(ハガキ、書面、メール文面案)
4.通知書送付内容証明郵便(配達証明付が望ましい)、FAX、手渡し、普通郵便等で送付し、証拠を保存。発信主義(送った時点で有効)。通知書のコピー、郵便局の受領証(書留・特定記録)、配達証明書、送信メールの控え、スクリーンショット
5.業者からの確認業者からの契約解除確認の連絡を待つ。クーリングオフ妨害や不当な引き止めに注意。連絡がなければ、必要に応じて消費生活センター等に相談。業者との通話記録、メール等のやり取り
6.返金・撤去支払い済み代金の全額返金、工事着手済み箇所の原状回復(業者負担)を確認。違約金等の支払いは不要。返金確認(銀行振込明細等)、原状回復状況の写真

外壁塗装をクーリングオフする際に注意すべきポイント

外壁塗装のクーリングオフをスムーズに進めるためには、いくつか知っておきたい注意点があります。
「手続きはこれで万全!」と思っていても、思わぬ落とし穴があるかもしれません。

しっかりと確認して、後悔のないクーリングオフを目指しましょう。

通知書は3通作成する

クーリングオフの通知書を作成する際には、可能であれば3通準備すると安心です。

通知書を複数作成するのは、関係各所に確実に意思を伝え、かつ自分自身のためにも証拠をしっかりと残すためです。
塗装業者だけに送った場合、万が一「受け取っていない」と言われたり、紛失されたりするリスクがあります。

また、ローン契約をしている場合は、そちらへの通知も忘れてはいけません。
具体的には、以下の3通を用意するとよいでしょう。

  1. 自分の控え用
  2. 業者への送付用
  3. 郵便局での保管用、またはリフォームローンを利用している場合は信販会社(クレジット会社)への送付用

特にローン契約がある場合は、塗装業者とは別に信販会社にも通知が必要です。

念のため複数作成し、関係各所への通知漏れがないようにしましょう。

通知書を送付する際は配達証明も依頼する

クーリングオフの通知書を送る際には、その送付方法も非常に重要です。
通知書を送った事実、可能なら相手が受け取った事実を証明できるようにすることが肝心です。

残念ながら悪質な業者も存在し、「通知書は届いていない」と主張したり、受取拒否や書面破棄をしたりというリスクもあります。
クーリングオフ期間は通知書を差し出した郵便物の消印日が基準となるため、発信の証拠は必須です。

業者側の受取拒否や書面破棄といったリスクに備え、FAX、手渡し(受領書をもらう)、普通郵便を利用することも有効です。
より確実な証拠を残すなら「内容証明郵便」に「配達証明」を付ける方法がよいでしょう。

ただし内容証明は受け取り拒否される可能性もあります。
状況に応じた送付方法を選び、必ず「送った証拠」を残しましょう。

外壁塗装がクーリングオフできる事例

「自分のケースはクーリングオフできるのかな?」と具体的に知りたい方も多いでしょう。

ここでは、外壁塗装の契約でクーリングオフが認められる可能性が高い典型的な事例をいくつかご紹介します。
ご自身の状況と照らし合わせながら、参考にしてみてください。

ただし、最終的な判断は個別の状況によりますので、あくまで一例としてお考えください。

訪問販売業者に強引に契約させられ、工事開始後にクーリングオフを申し出たケース

高齢者の一人暮らしの家に、見知らぬ事業者が「浴室塗装の無料点検」を口実に訪問。
「見えない場所が腐っており、すぐに工事しないと家が潰れる」と不安を煽り、浴室改修と屋根裏補強工事(総額125万円)を契約させ、その日のうちに全額支払わせられました。

数日後、家族が契約を知り、不審に思い同業者に相談したところ、工事の必要性も薄く、金額も不当に高額であると判明。
契約書面受領後8日以内だったためクーリングオフを申し出ようと連絡すると、業者から「もう工事を始めている。今更クーリングオフできない」と強く言われました。

この問題点は以下の通りです。

  • 勧誘目的を隠した訪問
  • 不実告知の可能性(本当に家が潰れるのか)
  • 高齢者への不当な勧誘
  • クーリングオフ妨害

このようなケースでは、クーリングオフが可能です。
業者が「工事が始まっている」と主張しても、クーリングオフ期間内であれば契約解除できます。

また、業者がクーリングオフできないかのように告げる行為はクーリングオフ妨害にあたり、その場合はクーリングオフ期間が延長されることもあります。

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「近所で工事中」を口実にした点検商法で契約したケース

「近所で工事をしている者ですが、お宅の屋根(外壁)が傷んでいるのが見えました。無料で点検しましょうか」と業者が訪問。
点検後、「このままでは雨漏りする」「すぐに塗装しないと大変なことになる」などと、写真(時には他人の家のものや加工されたもの)を見せながら不安を煽り、高額な外壁塗装契約(例:200万円)をその場で契約させたケースです。

このケースの問題点は以下の通りです。

  • 点検商法
  • 不意打ち的な勧誘
  • 不安を煽るセールストーク
  • 十分な比較検討の時間を与えない

訪問販売に該当し、契約書面受領後8日以内であればクーリングオフが可能です。
業者は支払われた代金を返金し、もし足場などを設置していれば自己の費用で撤去・原状回復する義務を負うことになります。

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契約書面の不備を理由にクーリングオフ期間経過後も解除が検討されたケース

外壁塗装工事(契約金額約140万円)を契約。
「15年保証」「塗膜の厚さ3~5ミリ」などの説明がありました。

しかし、工事完了後、塗膜が薄く、ピンホールや色ムラが多数発見されました。
業者は「下地の影響」と主張したため、消費者が消費生活センターに相談したところ、契約書面にクーリングオフに関する記載が法定の要件を満たしていないなどの不備(クーリングオフの告知義務違反)が指摘されました。

問題点は以下の2点です。

  • 契約内容と実際の施工品質の齟齬
  • 契約書面の不備

契約書面に法律で定められた事項(クーリングオフに関する告知など)が記載されていなかったり、記載内容に不備があったりする場合、クーリングオフ期間(8日間)の起算が開始されないと解釈されることがあります。

そのため、契約から相当期間が経過していてもクーリングオフが認められる可能性があります。

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外壁塗装のクーリングオフでよくある疑問

クーリングオフ制度について、なんとなくは分かってきたけれど、まだ具体的な疑問が残っている…という方もいらっしゃるかもしれませんね。
ここでは、外壁塗装のクーリングオフに関して、お客様からよくいただくご質問とその回答をまとめてご紹介します。

あなたの疑問もここで解消されるかもしれません。
ぜひチェックしてみてください。

クーリングオフの8日間を過ぎてもクーリングオフできることがあるか

「クーリングオフ期間の8日間を過ぎてしまった…もう諦めるしかないの?」と不安に思うかもしれませんね。
実は、クーリングオフ期間の8日間を過ぎても、契約を解除できるケースがあります。

消費者を守るため、特定の状況では期間経過後も救済される道が残されています。
具体的には、次のような場合です。

  • 事実と違うことを言われて契約した:
    「この塗料はメンテナンスフリー」「契約後のキャンセルは不可」「キャンセル料が発生する」業者から事実と異なる説明を受けたり、威圧的な言動で契約を迫られたりした場合。
    このような悪徳業者のケースでは、期限後も契約を解除できることがあります。
  • 契約書に不備がある:
    契約書には、会社名や所在地、契約日、工事内容、施工金額、クーリングオフ制度に関する記載が必須です。
    特にクーリングオフの注意書きは8ポイント以上の赤字で記載され、契約時に業者から説明がなければなりません。
    不備があれば契約書として成り立たず、8日を過ぎても契約解除が可能な場合があります。
  • 契約書が交わされていない:
    意外に多いのが、契約書を交わしていないケースです。
    この場合、契約が成立していないためクーリングオフ期間が始まらず、いつでもクーリングオフをすることが可能です。

「8日過ぎたからもうダメだ」と諦めず、まずは専門機関に相談してみることをオススメします。

業者にクーリングオフを了承してもらえない場合はどうすればよいか

クーリングオフの通知をしたのに、業者から「そんなことは認められない」と拒否されたら、どうすればよいのでしょうか。
クーリングオフは法律で認められた消費者の権利であり、業者の「了承」は必要ありません。

条件を満たしていれば、消費者からの一方的な意思表示で契約解除の効力が生じるためです。
業者がこれを不当に拒否したり、妨害したりすることは許されません。

もし業者にクーリングオフを了承してもらえない場合は、泣き寝入りする必要はありません。
まずは、以下の窓口に相談してみましょう。

  • 消費者ホットライン「188(いやや!)」
    全国の消費生活センターや消費生活相談窓口につながります。
    専門の相談員が無料でアドバイスをしてくれます。
  • 弁護士会や自治体の法律相談
    弁護士に具体的な対応を相談できます。
    初回相談無料のところもあります。

一人で悩まず、専門家の力を借りることも考えてみてください。
適切なアドバイスを受けることで、解決への道が開けるはずです。

工事が始まっていてもクーリングオフできるか

「契約してすぐに足場が組まれてしまった…もう工事が始まっているからクーリングオフできないの?」と心配になる方もいるでしょう。
たとえ工事が始まっていたとしても、クーリングオフの条件を満たしていれば、原則としてクーリングオフは可能です。

法律上、工事の着手・未着手はクーリングオフの可否を判断する要件ではないためです。
具体的には、訪問販売や電話勧誘販売で契約し、法定書面を受け取った日から8日以内であれば、たとえ以下のような状況でもクーリングオフを主張できます。

  • 足場が設置されてしまった
  • 一部の塗装が始まってしまった
  • 材料が搬入されてしまった

この場合、業者は自己の費用負担で原状回復(設置した足場の撤去、塗装部分の修復)を行う義務があり、消費者がその費用を負担する必要はありません。
「工事が始まったから」という理由でクーリングオフを諦める必要はありません。

期間内であれば、ためらわずに手続きを進めましょう。

クーリングオフの通知書を自分で書くのが不安な場合どうすればよいか

「クーリングオフの方法は分かったけど、通知書を自分で正しく書けるか不安…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
もしクーリングオフの通知書作成に不安があるなら、専門家の力を借りるという選択肢があります。

正確な通知書を作成し、適切な手続きを踏むことは、スムーズな契約解除のために非常に重要
です。
専門家であれば、書類作成の不備を防ぎ、法的に有効な形で手続きを進めてくれます。

具体的には、以下のような専門家に相談・依頼することが考えられます。

  • 行政書士
    クーリングオフ通知書の作成や発送代行を依頼できます。
    比較的リーズナブルな費用で対応してくれることが多いです。
  • 弁護士:業者との交渉が難航しそうな場合や、法的なアドバイスを含めて全面的にサポートしてほしい場合に頼りになります。

費用はかかりますが、その分手間や不安から解放され、消費者が気づきにくい点にも冷静に対処してくれるため、安全かつ確実にクーリングオフを行えるでしょう。

法律事務所や行政書士事務所の中には、初回の相談を無料で受け付けているところもありますので、まずは気軽に問い合わせてみるのもよいでしょう。

まとめ

「外壁塗装の契約、クーリングオフできるかな…」「手続きがなんだか難しそう…」。

この記事を読む前は、そのような不安や疑問でいっぱいだったかもしれません。
クーリングオフは、私たち消費者を守るための大切な制度ですが、普段あまり馴染みがないため、とっつきにくいと感じるのも無理はありません。

この記事では、外壁塗装におけるクーリングオフ制度について、以下について解説をしてきました。

  • 基本的な知識から対象ケース
  • 具体的な6つのステップ
  • 注意点やよくある疑問まで

弊社の弁護士監修のもと、分かりやすく解説しました。
もし、あなたが「この契約、本当に大丈夫かな?」と感じているなら、まずはこの記事で解説したポイントに沿って、ご自身の状況を確認してみてください。

そして、クーリングオフが適用できる可能性があるなら、勇気を出して一歩踏み出してみましょう。
もちろん、ご自身での判断や手続きに不安がある場合は、一人で抱え込まずに、消費生活センターや弁護士専門家に相談することも考えてみてくださいね。

株式会社マスカットホームは、箕面市や豊中市を中心に、お客様に心からご満足いただける外壁塗装をご提供しています。
契約に関するご不安にも真摯に寄り添い、安心してご依頼いただけるよう努めております。

この記事が、あなたの不安解消の一助となれば幸いです。

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